Googleという強さ。 [ 2006.06.17 ]
▼Googleの「最適さ」という価値
Googleの利用には、快楽が伴う。
それは、自分の要求に対して、Googleがいつもぴったりのソリューションを提供してくれることによって得られる「最適さ」という価値を享受する経験でもある。Googleのサービスには、過剰さも過少さも存在しない。
「常に最適であること」。それがGoogleの約束であり、そのブランド・プロミスに対する信頼が、次のリピート利用を生み出している。
旧来のマーケティングの教科書には、既存顧客からの売上を上げる施策として、利用金額や利用頻度向上の手法が書かれているが、それは本来のニーズ以上の「過剰さ」を生み出すテクニックである。しかし、高度消費社会のカスタマーたちは、プロモーションの新規性や規模の拡大による「過剰さ」を誘発する経験には慣れてしまっている。
Googleのシンプルなサービスは、この「過剰さ」とは無縁だ。
Googleは、今日の成熟したカスタマーが、必要なときに必要なものを必要なだけ与えてくれる最適なサービスを歓迎し、ロイヤリティを高めることを熟知している。
▼次のマーケット -モバイル検索市場
BBCのインタビューに、Googleのモバイルプロダクト・マネジメントディレクターのニシャー氏が応えている。
そこで語られているのは、モバイル検索の「最適さ」を追究するGoogleの姿勢だ。
Google targets mobile future : BBC.co.uk
PCの前にいるユーザーとモバイルユーザーが同じ検索をしたときには、異なる検索結果を示すべきだ、とニシャー氏は語る。
確かに、限定的な検索環境にあるモバイルユーザーに対して、PCユーザーと同じ冗長的な検索結果を示すことは、Googleの「最適さ」の思想に反する。モバイルユーザーには、より短距離で必要な情報に到達する道筋を提示しなければならない。
検索結果の精度を追究していけば、いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように検索するのかという検索シーンごとに、異なる検索結果が示されるようになるだろう。究極のOne to One マーケティングが実現された状態が、Googleの目指す世界だ。
「最適さ」を軸に考えれば、先日発表されたGoogleとKDDIの提携の戦略性も自ずと見えてくる(提携発表会にニシャー氏は出席している)。札幌で「ラーメン屋」と検索するユーザーと、恵比寿で「ラーメン屋」と検索するユーザーに、同じ検索結果を示す必要があるだろうか。位置情報が検索クエリに付加情報として加わることで、検索結果はそれぞれのユーザーにとってより最適なものになるだろう。
BBCの記事には、国ごとに異なるモバイル利用文化の違いを考慮しながら、「パーソナル性」というモバイル端末の特性と既存サービスとをホールプロダクト化しようとするGoogleの国際戦略も垣間見える。
検索環境ごとに微妙なニーズの違いの機微を見出す「インプット力」と、それぞれの特異性にあわせた検索ソリューションを高い技術力で提示する「アウトプット力」の総合が、Googleの強さを支える「最適さ」という価値を実現している。
先月の総務省の発表によると、携帯電話でのインターネット利用がPC利用を初めて上回ったという。世界的にも、PCよりもモバイル端末の普及率の高い国は多い。
「最適さ」というコア・コンピタンスをもって、Googleは次のモバイル検索市場の支配も狙っている。
トラックバック (0) | ブログコラム | TEXT : 藤原 秀樹





