Yahoo!JAPANのニューズウォッチ社買収は、新聞業界再編のプロローグとなるのか(3) [ 2006.05.13 ]
▼Googleを巻き込んだ新聞業界再編の最終シナリオ
前回、Yahoo!JAPANがニューズウォッチ社の「技術」と「新聞社のコネクション」を利用して、現在のコンテンツ配信からGoogleニュース型のディープリンクに切り替え、コンテンツ利用料金の圧縮を試みる、という未来予想図を描いてみました。
今後の話を整理するために、一旦、Googleと新聞社の関係に目を向けてみたいと思います。
Googleと新聞社の関係には、ある噂があります。
新聞社のウェブサイトを見ていると、よくGoogleのアドセンスが貼られているのを目にします。この新聞社サイトに貼られたアドセンスからの収益は、当然、新聞社とGoogleの折半になっているでしょう。
噂というのは、Googleと新聞社間の合意として、新聞社はGoogleニュースへのディープリンクを許諾し、一方で、Googleは、その見返りに、このアドセンスからの収益をバーターとしてバックすることになっている、というものです。
もし前回の予想通り、今後、Yahoo!JAPANがGoogleニュースのようなディープリンク型に切り替えようと考えているのであれば、コンテンツ使用料の支払いについても、新聞社サイトに広告を配信しその収益の一部を新聞社にバックするという、スマートなGoogle型に切り替えたいと考えてもおかしくありません。
そして、もしYahoo!JAPANが新聞社サイトに手広く広告配信を始めるようになれば、当然、現在すでに新聞社サイトに掲載されているアドセンスとの間で広告掲載スペースをめぐって競合するようになるでしょう。新聞社によっては、Googleアドセンスに与えている場所をYahoo!JAPANの広告に切り替える社も出てくるかもしれません。
Googleとしては、新聞社とのパートナー関係を失い、Googleニュースの媒体価値が低下させることになるため、Yahoo!JAPANとの広告スペースをめぐる熾烈な争いが起こることも考えられます。
また、現在、Yahoo!JAPANから新聞社に支払われているコンテンツ使用料が圧縮されれば、新聞社の収入にも影響が出てきます。社によっては、Yahoo!JAPANへのニュース提供を断るもの、あるいは使用料減少を認めずにYahoo!JAPANと交渉を始めるものなど様々な駆け引きが行われ始めるでしょう。
これらが、Yahoo!JAPAN、Google、新聞社間の関係を再編する3つ目のシナリオです。
ここで問題になるのは、このシナリオが現実味を持つためには、まず、Yahoo!JAPANが新聞社サイトに広告を配信するための仕組みを新聞社サイトに導入しなければならない、ということです。
正直、これは結構やっかいでは無いかと思っていたのですが、実は、某全国紙に勤める知人から、すでにこの仕組みの導入が始まりつつあるという情報を入手しました。
Yahoo!JAPANは、自社のアドサーバから新聞社サイトに広告を配信するスキームを各新聞社に提案し始めており、新聞社によってはすでに応じた社もあるというのです。
これについてはあまり詳しく書くと怒られるので、このくらいに留めておきますが、もしかすると、すでに業界再編への胎動は始まっているのかもしれません。
もうひとつ知人から聞いた話の中で気になったのは、大手広告代理店の動きです。
ある大手広告代理店の新聞局内に、デジタル関連セクションがつくられ、新聞社のインターネット関連事業にアプローチを始めているようです。大手広告代理店の中には、新聞社の動向に大きな発言力を持っている社がごく一部あります。これも詳細は割愛しますが、大手広告代理店という第4のプレイヤーの出現が、今後のYahoo!JAPAN、Google、新聞社の関係を大きく左右するカギとなるかもしれません。
普段何気なく目にしているインターネット上のニュースひとつについても、水面下では覇権をめぐる激しい駆け引きが起こっている可能性もあります。
Yahoo!JAPANのニューズウォッチ社買収は、あまり注目されることがありませんでしたが、そのような小さな変化を見逃すことなく、常に将来を先取りする発想が変化の早いインターネット業界には欠かせません。何かが変わってから気付くようでは、すでに遅いのです。
トラックバック (0) | ブログコラム | TEXT : 藤原 秀樹





