GyaO2.0。あるいは、MySpaceに対抗しうるのはmixiではなくUSENグループなのではないかという予感について(1) [ 2006.05.27 ]
▼MySpace.com 『24』配信キャンペーンの「真の衝撃」
数日前から、MySpace.comで人気ドラマ『24』配信キャンペーンが始まっています。
バーガーキングがスポンサーとなり、『24』シリーズの中から4話を無償で提供。その他のエピソードも、1ドル99セントで有償ダウンロードできる仕組みになっています。

現在、MySpace.comの会員数は8000万人を超えており、その巨大コミュニティに有償コンテンツ配信サービスを投入する今回の動きは、SNSの収益モデルとして非常に興味深い事例と言えます。と言っても、このプロモーションが持つエッジ性は「人の集まるところに商品を投下すればたくさん売れるだろう」というマス・プロモーション的発想とは別のところにあるように思います。
ポイントとして押さえておきたいのは、MySpace.comも、『24』を制作したFoxも、ともにNews Corp.傘下であるということです。
つまり、”多くの顧客からなるメディア・インフラ”と”そこに売り込もうとするコンテンツ”の両方が、ひとつの企業の支配下にあるため、さまざまなコントロールによって、セールス上のシナジーを最大化しうる構造になっているのです。
多くのSNS提供企業がクライアントにスペースを貸す広告モデルにとどまっている中で、News Corp.は、「自社コンテンツを自社会員に売る」という新しいSNSの収益モデルを実践しようとしています。
▼SNSの新収益モデル=「月9方式」?
「メディア・インフラ」と「コンテンツ」の両方を掌握することで生まれるシナジーを、ボクらは身近な例で、フジテレビのメディア戦略に見ることができます。
「月9」と呼ばれるドラマシリーズが始まるとき、フジテレビは主演俳優を『めざましテレビ』から『笑っていいとも』まで、あらゆる番組に出演させます。刷り込み効果によって、多くの視聴者は、思わず月曜21時にフジテレビにチャンネルを合わせることになるでしょう。一方で、人気の月9俳優が出演することで、各番組もメリットを享受できます。
放送局という「メディア・インフラ」と、人気ドラマという「コンテンツ」を巧みに組み合わせる、「月9方式」とでも呼ぶべきフジテレビ流のメディアミックス・プロモーションには、世論を誘導するパワーがあります。
リリー・フランキーさんの著書『東京タワー』の大ヒットにも、「月9方式」の効果が見て取れます。『東京タワー』はフジサンケイグループの扶桑社から出版されていますが、フジテレビの『めざましテレビ』では、何度もリリーさんや『東京タワー』に関するニュースを取り上げ、そのセールスを後押ししています。(その様子の一部は、Youtubeにアップされている動画で確認することができます)
Youtube:『めざましテレビ』で取り上げられるリリーさんの動画
昨年の邦画興行収入3位に入った『交渉人 真下正義』の好調ぶりを見ても、フジテレビのメディア領域を超えた「月9方式」の効果は絶大です。
テレビのような許認可制のマス・メディアでは、既得権益を持った放送局が、独占的に視聴者とコンテンツ流通の仕組みを所有し、世論を誘導してきました。
しかし、インターネットの登場により、新興企業にも「メディア・インフラ」と「コンテンツ」の両方を保有するチャンスが生まれつつあります。
特に、SNSのようなコミュニティ性の強いメディアに、自社コンテンツを「月9方式」で投入しシナジー効果を生み出すネット企業が出てくれば、旧マス・メディアの覇権をおびやかすインパクトを与えることができるかもしれません。
・続きます。
トラックバック (3) | ブログコラム | TEXT : 藤原 秀樹





